かんなの観劇記録

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ミュージカル「イザボー」

公演記録

ミュージカル「イザボー」
2024年1月20日(土) 12:30開演 @東京建物Brillia HALL

望海風斗
甲斐翔真 上原理生 中河内雅貴 上川一哉 那須凜 石井一孝

大森未来衣 伯鞘麗名
石井咲 加賀谷真聡 川崎愛香里 齋藤千夏 佐々木誠 高木裕和 堂雪絵 中嶋紗希 宮河愛一郎 安井聡 ユーリック武蔵
スウィング:井上望 齋藤信吾 高倉理子

作・演出:末満健一
音楽:和田俊輔
主催・企画・製作:ワタナベエンターテインメント

感想

ワタナベエンターテインメントによるMOJOプロジェクト(Musicals of Japan Origin project)の第一弾「イザボー」、初観劇してきました👑

一人の女の生き様をありありと見せつけられましたね……。冒頭の、イザベルとのギャップを考えると、少しだけやるせない気持ちが湧いてきます。でもそうやって第三者が心情を推し量ることこそ余計なお世話であって、彼女は彼女なりに意思と覚悟を持って生きていたんですよね。ああいう結末を迎えましたが、さほど悲壮感が無かったのは、彼女自身の考えが終始はっきりと示されていたからだと思います。望海さんは初めて拝見しましたが、オーラが凄まじかったです😳

観劇していて「誰でも多面性を有している」ことが大きなテーマの一つになっているように感じました。良き母の象徴とされていたヨランドが実際は腹の中で様々な思惑を抱えていたり、終始オロオロと戸惑い翻弄されていたシャルル7世が冷徹にジャンの暗殺へ手を貸していたり。
小鳥だったイザベルと、救世主たるジャンヌ・ダルクを同じ役者さんが演じていらっしゃるのは、イザボーの別の生き方を表現しているのかなと思います。実際に戦場へ出るという話ではなく、違う道を選んでいればフランスの救世主として国民から愛されていたかもしれないという可能性の象徴。
彼女はきっと必要以上に敵を作らず、清き正しき王妃として君臨することもできた。けれどシャルル6世を愛するが故にその道を捨てて、自分なりのやり方で国を守ることを選んだ。意図して狂気の道を歩み、自分の子どもたちすらを利用した彼女が、最後にほんの僅かでも7世と心を通わせることができたという意味で、この話はハッピーエンドだったのだろうなと思います。

舞台装置はぐるぐる回るので目まぐるしかったですね😂でもとにかく情報量が多いお話なので、手っ取り早く場面転換するためには必要な演出だったのだろうなと思います。
同じ理由で歌もものすごく早口だったり、逆に言葉数が少なくなりすぎているフレーズがあったりして、歌う方は大変そうだなと思って聴いていました。今回は舞台にすごく近い席だったので役者さんの地の声が聞こえていましたが、後方でマイク通しての声を聞くとなると結構聞き取りづらかったりするのかも?🤔
末満さんの演出できちんと拝見した作品はTRUMPシリーズくらいですが、比較すると全体的に絶望感は控えめだった気がします。セットや照明も黒くて控えめですが、その分明るいシーンや赤いライトは強く当てられているので、さほど暗いという印象は受けませんでした。シリアスとのバランスを取るためにちょいちょいコメディチックなシーンが入る、という点は通ずるものがあったかなぁ。開演前パフォーマンスとかそれですよね。
衣装のテイストはTRUMPシリーズと似てた気がします。黒一色でレースや刺繍が多用されたコートやドレスなど。アンサンブルさんはダンスが多いからか、男女ともにぴったりとした服が多い印象でした。

 

「悪女」と呼ばれた人に焦点を当てたお話でしたが、不快感のようなものはなく、わりとすっきりとした気持ちで鑑賞できたように思います。休憩時間含めて3時間超の長丁場でしたが、展開が目まぐるしくて体感あっという間でした!