かんなの観劇記録

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劇場版 呪術廻戦 0

作品記録

劇場版 呪術廻戦 0
2021年12月24日(金)公開
※2023年1月6日(金)鑑賞

緒方恵美 花澤香菜
小松未可子 内山昂輝 関智一
中村悠一 櫻井孝宏 ほか

原作:「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊 )
監督:朴性厚
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史
副監督:梅本唯

制作:MAPPA
製作:東宝 集英社 MAPPA サムザップ MBS
配給:東宝

感想

※鑑賞当時にTwitterにて呟いたものです

 

呪術のアニメ自体はじめてちゃんと見たんですが、めっちゃ映像綺麗だしアクションもすごいですね。私は三半規管があまり強くないので、視点がぐるぐるするようなアクションシーンって気持ち悪くなっちゃうことが多いんですけど、特段そういうのはなかった。カメラワークが丁寧だったからかな

呪霊が水墨画みたいなタッチで面白いな〜と思いました。そもそも呪いとか霊って存在自体が旧い時代を想起させるものだからか、ああやって如何にも現代とはズレがあるものとして描かれると得体の知れなさが増してゾクゾクしますね。あと角ばった印象になるからか、少年漫画っぽさも増してて良かった

冒頭で乙骨先輩が五条に招かれて、高専の鳥居をくぐるシーン。あの鳥居はきっと呪術界の入り口を表しているんだよね。夏油との戦いの最中で(あれと同じものかはわからないけれど)鳥居が崩れるシーンが映るのは、呪術師だけを見て他を排除しようとした夏油の思想の否定なのかなぁと何となく思った

乙骨先輩以外の2年ズ軒並み声低くてびっくりした。いや真希さんは予想ついてたけど、特に棘くんが想像以上に低くて。呪言を扱う人だと思うと、低い方が重みが表現しやすいからかなぁと思ったり。パンダ先輩の声が低いと、夜蛾センと親子って感じでいいね。パンダマフラーも夜蛾センの趣味かな可愛い

声で言うと、相対的に五条の声がちょっと低めで、夏油の声がちょっと高めなのも意外だったかも。個人的にはどうしても、おちゃらけてる五条と落ち着いてる夏油の印象が強いんだよね。でも胡散臭い教祖モードの夏油とガチギレモードの五条を思うとその方が合うんだよね~~~声優さんの演技って面白い

東堂、きむすばさんボイスがハマりすぎててちょっと笑っちゃった 彼ああいう役がとても良くお似合いですね

花澤さんボイス美しい😭😭😭少しあざとい里香ちゃんと、純粋に楽しそうに笑う子どもらしい里香ちゃんとの演じ分けがとても素敵。ラストのあの台詞の表現がとても優しくてつい泣いてしまった

乙骨先輩いうて16歳とかだし男性声優さんの方が合うのでは?と正直思ってたんですけど。終盤でリカから「嫌いにならないで」と言われた時に返した、「嫌いになんてならないよ」があまりにも愛に満ち溢れていて、緒方さんが演じてくださって本当に良かったと心の底から思った。あの台詞、原作を読んだ時は本心半分、リカを落ち着かせるための方便半分という印象だったんですよ。でも映画だと、真摯に本心を伝える台詞なんだとすんなり納得できた。彼にとって、里香ちゃんは本当にすべてだったんだろうな…あの台詞を聴けただけで、映画を観た価値があると思えるくらいでした

皆さんの戦闘シーンがたっぷり見られたの本当に嬉しかったんですけど、特に冥さんがカッコよすぎて…そうだ彼女も一級なんだ…いやまあ台詞はちょっとあれですけど、そこも含めて全部が素敵。とかく美しい。なんかまた新たな扉を開きそうになった瞬間でした。またあのシーン見返そう

本編を前提とした演出になっていたからやっぱり原作とはかなり印象が違ったんですけど、なんかもう百鬼夜行に携わった高専側の大人たちの描写はみていて終始遣る瀬無かったです。夏油を「知っていた」人たちと知らなかった人たちとで、あそこまではっきりと描き分けられているとは。伊地知と夏油は殆ど関わりなかったと芥見先生が仰っていたけど。五条が警戒する相手=夏油と即座に結び付かないあたり、伊地知にとって夏油は教科書上の人というか、知ってるようで全然知らない人だったのかなと思った。
もしかしたら二人が親友だった事実、七海よりも後の世代は知らないのかもな。夏油が高専生、つまり身近な存在だったわりには、全体的に大人たちの反応がかなりドライだと感じたんですよね。勿論知ってて割り切ってる可能性もあるけど、伊地知はたぶん補助監督としてはかなり優秀な方なので、その彼が思いつかなかったってことはやはり知らないのだろうなと。
反面、五条は勿論、冥さんや七海、硝子さんと夏油を「知っている」人たちの反応は他の人と違うように描かれてる。伊地知が夏油のことを説明している間、珍しく戦闘でも無いのに冥さんの瞳が描かれていたし、七海に至っては(隣でちゃんと聞いてる猪野くんと対照的に)伊地知の方を見てすらいない。(あと、もしかしたら日下部さんも知ってる側なのかもしれないと映画をみてて思った。)学長も含めて皆がいつかきっとこんな日が来ると覚悟していたんだろうなと、察せてしまうのが哀しかった。でもさ〜〜〜皆大人だから、術師だから、その辺は割り切って表に出さないんだよね…

これ以前にも呟いたかもしれないですけど、術師として生きるためには「力を持っているという自覚」と「割り切りの良さ」が必要不可欠なんだろうなと思っています。で、きっと夏油には後者が致命的に欠けていた。出戻りした七海との差はそこだったんだろうと。
親友との訣別を経験して、呪術界で揉まれて、ある種の「大人」になった五条に対して、高専時代と変わらないかのようなフザけたテンションで接する夏油が、二人の間の決して埋まらない溝を表しているようで虚無感を覚えました。声が当てられて、原作よりもいっそうパンチのあるシーンになってた。

呪0自体が生徒(乙骨)目線の作品なので、どうしてもそういう大人たちの内心の葛藤は見えづらい作りになっていますけど。数少ない、複雑な胸中が描かれたシーンの一つが「『夏油という呪いを完全に祓う』と息巻く学長たちを振り向きもせずに部屋を出て行く硝子さん」なのがとても辛かった。本編の彼女からすると、そういう感情を表に出すって考えづらいじゃないですか。実際もう会議は終わりと思ったのかもしれないし、くだらないと思ったのかもしれないし、負傷者が沢山出るだろうから準備しなきゃと思ったのかもしれない。でも少なくとも夏油の説明では会議室にちゃんといた硝子さんがわざわざ会議中に、それも五条や学長からは見えていただろうに、途中退席したってこと自体が意味を持っているのだろうなと感じました。あとのシーンで彼女の言う「面倒なこと」って言葉には万感の思いが籠もっていたんだろうなと。改めて映像にされるとしんどすぎるよ百鬼夜行

「逆夢」は元々呪0の主題歌とは知らずに聴いてたんですけど、映画の本編を見てから聴くとまた印象が違いますね。旋律の美しさと、歌詞とが沁みるなぁ

長々と感想書きましたが呪術廻戦0 とっても面白かったです!また時間があるときに見返したいなー!